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【おそ松さん】この恋心を受けとめて

第1章 再会


着替え終わった頃、タイミングよくおばさまが台所から居間へ戻ってきた。

ちゃぶ台に紅茶セットと、平皿に綺麗に並べられたクッキーが美味しそう。

「女の子は緑茶よりこっちかと思ったのよ、疲れてるなら甘い御菓子がいいんじゃないかってね♪」

ティーポットからカップに注がれた紅茶の薫りとクッキーの甘い薫りが部屋の中に漂う。

「はい、どうぞ」

『美味しそう!いただきます』

紅茶もクッキーも文句なく美味しいし、おばさまと談笑の中で、カラ松お兄ちゃんの子供の頃の話しも聞けた。

「あら!?もうこんな時間、なみえちゃん悪いんだけどお留守番しててくれるかしら?ちょっと夕飯の買い出しに出掛けてくるわね」

『大丈夫です!構いませんよ、夕飯の準備なら私も手伝います!』

「あらまぁ助かるわぁ!じゃあ、お留守番お願いね♪」

そう言うと、自分のティーカップを台所に下げた後、慌ただしく出掛けていった。

私はお代わりで注いでもらった残った紅茶を飲みながらゆったりした時間を満喫していたのだけど、いつの間にか寝ていたみたい。

ドガッッ!!!背中を蹴られた激しい痛みで目がさめた。

『グゥッッ!!!』

ちゃぶ台の下に足を伸ばしたまま、横になって俯せで寝ていた私を誰かが蹴ったようだ。

「おい!クソ松!!こんなとこで寝るんじゃねぇ!!邪魔だどけっ!!!」

低く唸るように、暴言を吐く人物を確認しようと飛び起きて顔を向けた時、紫のパーカーにジャージをはいた人が、再度足を振り上げ私を蹴ろうとしていた。

反射的に目をつむり、腕で顔を守った態勢のまま痛みをもたらすであろう衝撃に固まっていた。

ん?何もおきない?私は恐る恐る防御態勢を解いてその人物を見上げた、少々涙目になってしまったけど仕方ない。

『カラ松お兄ちゃん?じゃない!?誰!?』

カラ松お兄ちゃんとそっくりだが、違う人だと分かる。
その人は私を凝視したまま、カタカタと震え、足を振り上げた態勢で固まっている、こころなしか背中に闇のオーラが見えるのは気のせいだろうか…。

見つめあったまま静寂が居間を支配する。

と、その時玄関を開ける音が聞こえ、賑やかな廊下を歩く音と賑やかな中で聞こえる懐かしい声。

「帰ったぜ、ブラザー!!」

私は反射的に立ち上がり紫の横をすり抜け廊下へと飛び出した。
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