第4章 愛しい守るべき存在
正直…びっくりした、巧く取り繕えただろうか。
寝惚けて起きたのか、ずっと起きてたのかは分からないが、心臓に悪い。
さっさと戻ろう。
『あっ…お兄ちゃんお帰り!』
「ただいま、ほらパジャマ」
『ありがとう、借りるね』
ズボンのウエストが余っている、後は寝るだけだから問題ないだろう、上は…着丈は充分余裕があるが胸がきつそうだ。
男物だから余裕はあると思ったんだが…、なみえは、一番上のボタンを1つ外し落ち着いたようだった。
胸元が際どいが、何も着ないより、かなりましだ。
「なみえ、髪乾かそうな」
ドライヤーを手に取って強風で手早く乾かす、仕上げにブラッシングだ。
「先に居間に戻っててくれ、風呂場を片してからオレも行くから」
『ん?歯磨きした後、お兄ちゃん待ってる間に片付けといたよ?お湯落としちゃったけど大丈夫かな?』
「そうか、ありがとうな」
頭を撫でると嬉しそうにはにかんだ、可愛いい。
居間に戻って寝る準備をする、その前にまだ1つやることがあった。
オレは救急箱を手に取り言った。
「なみえ、寝る前に背中の湿布張り替えよう、痣になってたからな」
背中を捲って、患部をみると粘着力があるのか、水分を含みながらも、しっかり貼り付いていた、これは…剥がす時痛いだろうな…。
ペリッペリリッ
『いっ!!痛い痛い、お兄ちゃんお願い!一気にやってっ!!』
ベリィッッ!!!
『ッ!!!!』
余程痛かったのか、踞ってフルフル背中が震えている、赤い顔で涙目で振り返ったなみえも可愛いい。
オレは湿布を貼るとパジャマを下ろし頭を撫でて、電気を消した。
「さぁ、添い寝してやるから、良い子にして寝るんだ」
『うん、お兄ちゃん、おやすみなさい…子守唄…お願いしていい…?』
「フッ…お安いご用だ」
オレは腕枕をし、此方を向いて横になったなみえの背中を優しくリズムををとるようにポンポンしながら、六つ子の歌を歌った。
暫くすると、スースーと寝息が聞こえてきた、どうやら寝たらしい。
今日は中々に濃い一日だったからな、疲れたんだろう。
オレはそっと腕を外すと掛け布団を掛け直しそっと額にキスをした。
「おやすみ…なみえ、いい夢を…」
そうしてオレは二階の六つ子部屋に戻った。