第3章 妹?だけじゃないのよ?
お茶を飲んで一息ついた時、玄関が開いた音と賑やかな声が居間に響いた。
「たでーまー」
「あっ!なみえちゃん起きてるっ!!」
「ただいマッスルッ!!」
「……」
「よかった、起きてて大丈夫?」
カラフルなパーカーのお兄さん達は賑やかしくちゃぶ台のまわりにぐるりと座った。
「なみえちゃん、遅くなったけど自己紹介するな!」
「俺、松野家長男、松野おそ松、よろしくな!!」
鼻の下を人差し指で擦って、人懐こくニシシと笑う赤いお兄さん、ああ、この人だったのかごめんの人…。
「さささ、三男、ま、松野チョロ松です、よろしくね、なみえちゃん!」
吃りながら赤くなって真面目そうな緑のお兄さん。
「今日は…ごめんね…背中大丈夫?」
「あっ…だ、大丈夫です」
「そう…本当ごめん…四男、松野一松…ゴミって呼んでもいいよ…」
眠そうな、猫背の紫のお兄さん、自分の事ゴミって…
「ハイハーイッッ!!五男、松野十四松でっす!なみえちゃん野球好き?」
明るくて元気だなぁ、黄色のお兄さん。
「もう、十四松兄さんたら、なみえちゃんは女の子だよ!
あっ!ボクは六男、松野トド松♪よろしくね♪」
なんか…キュルンて擬音が似合う桃色のお兄さん。
「もう知ってるが、改めて松野家が次男、松野カラ松だ」
めちゃめちゃ知ってるよ、律儀だなぁ。
さすが六つ子だけあって同じ顔が揃うと迫力がある、でも、個性が如実に出てるから見分けは付きそう。
『私は松野なみえです。今日からここでお世話になります、お兄ちゃん達、よろしくお願いします』
私はペコリと頭を下げてニッコリ笑って自己紹介した。
ん?なんかシーンとしてる…何かおかしな事、言ったかな?
「「「「「んんん~、可愛いい~!!」」」」」
「なぁなぁ♪なみえちゃん、ちょっとこっちおいで」
『なぁに?おそ松お兄ちゃん?』
ちょいちょい手招きをするおそ松お兄ちゃんに近づくと、さっと手を引かれて胡座をかく足の上にポスンと背中から抱っこちゃん状態になっていた。
「なっ!?おそ松!!」
「何やってんのぉ!?このクズ長男っ!ボクだって抱っこしたいの我慢してたのにぃ!」
「何やってんだコラァ!!離せっこのクズッッ!」
「………」
「アハハァ~!!超うるさいね!」