第2章 女の子は脆いんだから
「何…やってんの?」
救急箱を取りに行っていた一松が戻ると、十四松がおそ松を卍固め、カラ松とトド松が仁王立ちでそれを見ていた。
一松はカラ松に救急箱を差し出す。
「はい、これ…クソま、カラ松が処置した方がいいだろうから…」
チラリとなみえに目を向けると、一瞬ビクッとした後何かを呟きながら、フラフラといつもの定位置で膝を抱えて座った。
カラ松はなるべく胸を見ないように、なみえを横向きにして患部を確認する、肩甲骨の下辺りに鬱血した痣が出来ていた。
隣りに座ったトド松が救急箱から湿布を取りだしカラ松に渡すと、手早く貼る。
十四松は卍固めで落としたおそ松を放り投げ、脱がせたパーカーを拾いカラ松に渡す。
それを手早くなみえに着せて、剥がされた掛け布団をそっとかけ直した。
「なんとか処置出来てよかった、ブラザー達、ありがとうな」
「ううん、いいよ、よかったねなみえちゃん、明日また貼り直してもらいなね」
そう言いながら、なみえの頭を撫でた。
「ニート達、ご飯出来たから運ぶの手伝ってちょうだい!!」
「ハイハハーイ!!いってきマッスル!!」
「あっ、十四松兄さんボクも手伝う♪」
ドタドタと騒がしく台所へ行ってしまった末松を見送った。
「あ~あ~、もう着ちゃったのかぁ残~念」
いつの間にか復活したおそ松がどさりとカラ松の隣りに腰をおろす。
「生きてたのか、ゴキブリ並みの回復力だな、おそ松」
「お前の兄ちゃんへの塩対応なんなの!?ひどくな~い!?」
「フッ、日頃の行いが悪いからだろ」
「まっ、結果オーライってやつ?あ~早く起きてくんないかな~なみえちゃん、俺もおそ松お兄ちゃんて呼んでほしい~ハグハグしたい~」
「やめろ、なみえが汚れる」
そう言いながら慈しむようになみえを撫でているカラ松から、チラリとなみえを見て気付いた。
「ひどくない!?なぁカラ松、お前にとってなみえちゃんて、どういう存在なの?」
「どうもこうも、なみえは大事な妹みたいな守るべき存在だ、おそ松、なんなんだ?さっきから何が言いたい」
「ん~なんにも~、ほら、準備出来たみたいだから飯食おぜ」
立ち上がり、皆が揃うちゃぶ台へ向かうカラ松に続くおそ松が振り返り呟く。
「ごめんな」