第12章 尾行ブラザーズ

なみえは前から歩いてくるトト子とすれ違うと振り返りその後ろ姿を見詰める。


夢《あの人がトト子ちゃん…近くで見ると本当に綺麗な人…》

A《確かに美人さんだったね、誰？知り合い？じゃないよねぇ…向こうスルーだったし…》

夢《うん…向こうは私の事知らない…でも私は知ってる。お兄ちゃん達六つ子の幼馴染み…お兄ちゃん達の大好きな人…》

A《はっ？えっ？マジで…なみえ…大丈夫？お兄ちゃん達って事はあんたの大好きなカラ松お兄さんもって事だよね…？》

夢《そうだと思う…私の事好きって言ってくれるけど私のはたぶん二番目の好きだと思う…一番じゃない…》

A《なみえ…あんたもしかしてブレてる！？まったくブレなかったあんたが…あの幼馴染みって人とすれ違っただけでブレるなんて事あるのっ！！？マジで…信じらんないもの見たわ～…》

夢《うん…まぁ…あの人だけはねぇ…会うのはなるべく避けたいって感じかな…ハァ…嫉妬しちゃうんだよね、そんな汚い気持ち持った自分が嫌になるから…》

A《嫉妬ね～…なみえの辞書の中にはなかった言葉だよね…ってかある意味凄くねっ！？幼馴染みさんっ！！ ヤバイ…確かにヤバイわ～私でもわかるっ！》

夢《本当は今日さ、A子からの電話がなかったら頑張る自分へのご褒美って感じ？気分転換で独りで出掛けてショッピングするつもりだったんだよね…》

A《おっ♪私ってばナイスタイミングってやつ？》

夢《フフッ♪そうそう、ナイスタイミング♪》

A《そう言う事なら、とことん付き合っちゃう！早く買い物行こ♪》


再び歩き出した二人を尾行しながら六つ子の足取りは重い。


「なんだよ…あーっ！クソッ！ちっとも誤解とけてねーじゃんっ！？二番目じゃねぇっつーの！！一番だよっ！？」

「あれだよね…既に頭の中にトト子ちゃんが恋敵でインプットされちゃってるんだよ…ボク達これからの行動気を付けないとね、トト子ちゃん見るだけでブレないなみえちゃんがブレてるってA子ちゃんびっくりしてたぐらいだもんね」

「オレの事…信じてくれてないのか…？なみえが一番好きなのに…」

「どの口が言ってんだろうねクソが…なみえちゃんとの約束最初に破ったのおれ達じゃん…彼女を置いて全員でトト子ちゃんに会ってるの見られた時点でアウトなんだよ…」