第12章 尾行ブラザーズ
外で待機組と見送り組は其々補聴器型の集音器を付ける。
《ゴソゴソ…ん~♪完璧かな、さてと…残ってるお兄ちゃん達に声掛けてから出掛けなくちゃね♪》
なみえが自室から出て玄関へ向かったようだ、下から呼び掛ける声がする、兄組の三人は玄関へ向かう。
出掛ける用にお洒落をした彼女はモデルのようだ、ストレートの髪も巻き髪にして上側だけを軽く纏めている、水色の細かい花柄の長袖パフスリーブワンピースも膝上なのに清楚に見えるし履いているヒールサンダルが美脚を引き立てている。
『お兄ちゃん達!出掛けるね、いってきまーす♪』
「お、おう…気を付けてな」
「「「いってらっしゃーい」」」
出掛けて行ったのを確認すると兄組も静かに家を出る。
遠目から電柱に隠れて後をつける、勿論其々イメージカラーの唐草模様の風呂敷でほっかむり装備だ。
なみえから目を離さないままおそ松が呟く
「あれはダメだよなぁ…」
「えっ…どうしたの?おそ松兄さん」
「フッ……なみえの今日のコーディネートだろ?」
「分かってんじゃんカラ松ぅ、あれはいかにも男受けしちゃう格好だよ?なんで友達と遊ぶのにわざわざ男に襲われるような格好するかなぁ、ジャージでもツナギでもよくない!?」
「まぁそこは年頃の女の子だからね、お洒落ぐらいするよ」
《あー♪いい天気でよかった~今日は思いっきり遊んじゃお♪》
なみえが時々呟く独り言を聴きながら尾行は続く。
駅前通りの路地裏の入り口付近がおあつらえ向きに向こうからは死角だがこちらからは見渡せる、そこで弟組と合流する。
なみえの友達はまだきていない、駅前で友達を待つ彼女にナンパ野郎が声を掛ける、その都度凶悪な人相で飛び出して行きそうになるカラ松をおそ松とチョロ松で押し留め、肩に手を掛けるしつこい野郎がいれば隣ではギリギリと歯ギシリをするトッティ顔のトド松、ブツブツと呪詛を口にする一松、バットでウォーミングアップを始める十四松、と反応は様々だ。
「お前らちょっとは落ち着けってっ!!バレるわけにはいかないんだから我慢しろっ!!」
「おそ松兄さんもチョロ松兄さんもよく落ち着いてられるよねっ!!見てよっ!友達待ってる間にもう十人は声掛けられてるよっっ!!」
そうしているとなみえがあの痛いスマホを出した。