第4章 No.3 おなじだけどちがう。
side:轟
[雄英高校・1-A]
神和が俺に何を伝えたかったのかがイマイチ解らないまま別れて席に着けば、包帯ぐるぐる巻きの状態の相澤さんがやって来た。
相当な怪我を負ってたはずだったのに、神和の回復のおかげもあって大事にならずに済んだらしい。
・・・なんでも出来るんだな、神和の“個性”って。
その相澤さんが話し始めたのが、近々始まる雄英体育祭についてだ。
轟「(雄英体育祭・・・。
かつてのオリンピック並みの体育祭か・・・)」
・・・どうせ、親父の事だから見に来るだろうな。
俺が右だけじゃなく、左も使って親父の力を俺が使う所を。
・・・・・・くそっ、テメェの夢を息子に勝手に押し付けるんじゃねえよ・・・。
・・・力、か。
チラと前の方の席に座ってる神和に目を向ける。
相澤さんの話に興味があるのか無いのか、それともただ単に聞き流しているだけなのか・・・。
・・・俺が言うのもあれだが、ポーカーフェイスが通常装備ってのも考えものだな。
第一印象は、変わってる奴。
戦闘訓練で俺と爆豪を相手に、ダメージを軽傷で抑えてた力を・・・この間の襲撃事件の“敵”には相応のダメージになるように自分の“個性”をしっかりコントロールしていた。
なんと言うか・・・あまり感情らしい感情を表に出さない、何を考えてるかよく解らない女子。
・・・まあ、その女子に負けた訳だが。
轟「(・・・そう言えば、体育祭は競技に1対1の対戦があったはず・・・)」
1-Aは腐ってもヒーロー科だ。
全員とまではいかないにしろ、いい線いく奴も多いはず。
・・・もし、組み合わせで神和と当たるとなると・・・。
爆豪「おい」
!
っと・・・考え込み過ぎたか・・・。
いつの間にかホームルームが終わってて、クラスの奴もそれぞれ体育祭について喋っている。
爆豪が声をかけたのは・・・神和か。
アイツ、目付き悪いのが通常装備だよな。←
・・・傍から見ればぼーっとしてる女子生徒にガン飛ばしてる不良生徒だな。
俺は1限目の準備をしながら、何気なく2人の会話に耳を澄ませた。