第3章 No.2 器物損壊・個人情報盗難・不法侵入
他にももっと色々な使える属性があるんだと思うけど、何でも出来ちゃうような中々攻略しにくい“個性”だよね」ブツブツ)
零无「緑谷くーん。
解説してるのか評価してるのか、ごっちゃになってきてるよー?」
緑谷「ハッ!
あ、ごめん・・・!
それで、そのもう1つの“個性”って言うのは?」
零无「・・・んー、そうだな。
一言で言えば・・・自己犠牲とか等価交換・・・かな」
オール「・・・自己犠牲に、等価交換・・・?」
零无「雄英の筆記試験、満点合格だったよね。オールマイト先生」
オール「ああ、減点すべき回答も無い完璧な答案用紙だった。それが・・・?」
零无「・・・それも、“個性”の力なんだよね」
リカバリ「・・・・・・この子はね、もう1つの“個性”のせいで感情が欠落してるのさ。
“感情”を引き換えに、五感でありとあらゆるそれぞれの情報を得る事が出来る・・・もう1つの“個性”の内の、ほんの一部さね」
リカ婆が私の代わりに喋ってくれた。
イマイチ解らないのか、オールマイト先生と緑谷くんが首を傾げる。
んー・・・こればっかりは実際に見た方が早い。
私は保健室の机の上にある医療辞典を手に取った。
それをパラパラと流し読みする。
一通り見終えて、その医療辞典を緑谷くんに「はい」と手渡す。
零无「適当なとこ開いて、ページ数と行数言って」
緑谷「えっ?
・・・えっと、それじゃ・・・53ページの3行目」
零无「トークス症候群はめまいや失神といった症状が出る病気だが、その原因は様々な不整脈。単なる不整脈ではなく上記のような症状が出ている重症な不整脈の為、もし診断が既についているのであれば循環器を専門とした病院や一通りの診療科が揃っている総合病院の受診が勧められる」
今さっき見たばかりの文章を、ツラツラと読み上げる。
ちなみにアダムスストークス症候群の2ページ目の内容だ。
オール「・・・!!」
緑谷「え・・・す、凄い・・・一字一句間違えずに言えてる・・・!
か、神和さんどうやったの!?」
零无「どうやったも何も、これがその一部だよ。
・・・んーと、要約すると・・・」
リカ婆に要らない用紙とペンを借りて、私はカリカリと書き始めた。