第3章 No.2 器物損壊・個人情報盗難・不法侵入
完全に、見た目はいつものオールマイト先生に変わる。
それを見てセメントス先生はその細い目を見開いた。
セメント「これは・・・幻?」
零无「一応有幻覚なので、触れる幻だとでも思ってくれれば」
オール「凄いな・・・私は全然力んでいないのに、この姿を保てているように見えるなんて」
零无「まあ、あくまで“そう見えるように”してるだけですけどね」
セメント「・・・これならば、大丈夫そうですね。
では、私は緑谷くんを運びます」
オール「ああ、よろしく」
いつの間にか気絶してた緑谷くんを持ち上げて他の先生達が居る方へと歩いて行く。
零无「・・・さて、オールマイト先生歩けますか?」
オール「ああ、なんとかね。
・・・・・・・・・」
零无「聞かないのかい?って言いたそうにしてますけど聞いた方が良いですか?」
オール「・・・君の事だ、他言する事は無いだろうが・・・訳も聞かずに“個性”で助けてくれた者に事情を言わないのではヒーローとして名が廃る」
零无「・・・・・・」
オール「話そう。
この姿の事を」
ゆっくり歩き始めたオールマイト先生の歩幅に合わせながら、その隣を歩く。
・・・よっぽどのダメージなんだろうな。
フラフラになって歩くその姿は、さっきまで私達を想って戦っていた姿とは大違いだ。
“敵”と連日連夜戦っているプロとしての責務を、この細い身体に背負ってるんだ・・・。
零无「(・・・・・・?
・・・・・・なんだろ、オールマイト先生みたいな背中を・・・どこかで・・・・・・)」
一瞬だけ、オールマイト先生の背中と誰かの背中が被って見えた。
・・・なんだ、?
ここじゃないどこか・・・遠い、昔・・・・・・。
零无「・・・私も、オールマイト先生に自分の“個性”の事を話してもいいですか」
気づけば、そんな事を口に出していた。
・・・言うつもり無かったのに・・・。
オール「!君の・・・?」
零无「はい。
・・・まあ、取り敢えず学校に着いてからにしましょ」
屋外で喋るとどこでだれが何を聞いてるか解らないからと言う事で、学校の保健室で話す事にした。