第6章 No.5 ルールはルール。
[雄英高校・特設スタジアム観覧席]
零无「ただいまー」
耳郎「あ、おかえり!」
八百万「見事な試合でしたわ。
・・・悔しいですが、神和さんは1-Aの女子最強・・・悔しいですが」
蛙吹「2回言ったわね。
けど確かに、唯一勝ち残ってるんだから零无ちゃんは1-Aの女子最強って言っても良いんじゃないかしら」
零无「え、そーかな」
上鳴「いやいや~、そこは自信持とうぜ!」
みんな、口々に私と常闇くんの試合の感想を伝えてくれた。
・・・てゆーか、なんか八百万さん・・・・・・。
マイク『ぼちぼちフィールドも直った所だしそろそろ始めるぜベスト4の最後の枠!』
もはや聞き慣れたハイテンションな実況の声を聞きながら、私は耳郎さんの隣に座った。
・・・なんだかんだで、ベスト4になっちゃってるのか。私。
んー、あんま気にしてなかったけど爆豪くんが切島くんに勝ったらその爆豪くんと戦うんだよね。
約束した手前、本気で相手しなきゃ・・・だよね。
でも・・・うー。
《悩んでいるようだな、我が主よ》
零无「!」
不意に、本当に不意に。
頭の中に馴染みのある声が響く。
自分と同じ声。でも私の声じゃない声。
・・・ゼウスか。
零无「〈・・・さっすが神様。契約者の脳内に話しかけてくるのなんて容易いって事?〉」
ゼウス《ふふふ、そう言う事だ。
して・・・何をそんなに悩む?
爆豪勝己が主の本気の強さと戦う事を望んでいるのだから、それに応えてやれば良いだけの話だろう》
零无「〈いや・・・そう言う単純な話じゃないよ。
私人殺しになりたくないし〉」
ゼウス《では、死なない程度の本気はどうだ?》
零无「〈・・・爆豪くん、戦闘面でハイセンスだからそう言うのすぐ気づきそう。ハデス呼んだ時だって温度調節したのバレてたし〉」
ゼウス《ふむ、それも一理あるな。
・・・おお、そうだ。最善策を思いついたぞ、主よ》
心做(こころな)しか自信ありげな口調でゼウスからとある事を提案される。
その内容に、私は思わず溜め息をついたのだった。