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血染櫻【文豪ストレイドッグス】

第13章 チョコレート少女


「改めて、ボクは錦戸。で、こっちの怖い方がボクの相方で吾妻。今日一日よろしくね、探偵さんたち」

 ウィンクして見せる錦戸さんは、どこか太宰さんに似ているような気がした。
 雰囲気とかそういうことじゃなくて、どこか女性に慣れていそうなところが。

「さっきの体術は、かなり実戦向けだった。誰に習った?」

 低い声で問う吾妻さんは、錦戸さんが言ったように「怖い方」という言い方がピッタリだ。
 そんな彼を気にする様子もなく、詞織さんはチョコレートを食べている。

「背が低くて、いつも帽子被ってて、お酒強くないくせにワインが好きで、褒めるとすぐに調子に乗る人」

 うわー、それってどんな人かちょっと興味あるかも。

「そいつは本当に強いのか?」

「一度も勝てた試しがない」

 そう言う詞織さんはどこか悔しそうだ。

「あの実力で一本も取れんとは……かなりの手練れだな」

「オマエ、いっつもそればっか。ごめんね、コイツ、戦闘バカだから。戦うことしか頭にねぇの」

「い、いえ……お気になさらず」

 何となく、二人のキャラが掴めてきた気がする。

「お前の師はどこにいる? 是非稽古をつけてほしい」

「ムリ。そんなに簡単に会える人間じゃないし、今じゃ連絡も全然取ってないから」

「そうか、残念だ」

 あまり残念がっているようには見えないけど。
 吾妻さんの表情はあまり変わらない。
 そういうところは社長に似ているかも。

「そんなに稽古をつけて欲しいなら、ウチの社長にしてもらえばいい。あたしの師よりもずっと強い」

「本当か!」

 食いつき方がハンパない。
 錦戸さんが『戦闘バカ』と評するのも頷ける。
 苦笑しつつ見ていると、「そういえば」と錦戸さんが口を開いた。

「二人も、『異能』っていうのを持ってるんだよね?」

「あぁ、あの『奇術』か。今回の暗殺者にもいるらしいな」

 事件の話に、僕の表情は無意識に引き締まる。
 軟派な錦戸さんの表情も真剣なものだ。
 変わらないのは吾妻さんの仏頂面と、詞織さんの退屈そうな顔ぐらいだろうか。
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