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血染櫻【文豪ストレイドッグス】

第13章 チョコレート少女


「いつ護衛任務についてもいいように、一緒に行って学んでこい」

「あたし一人でいい」

「決定事項だ」

 有無を言わさない国木田さんが、詞織さんに資料を渡す。
 渋々資料を受け取った詞織さんは、大きなため息を吐いた。

* * *

 僕と詞織さんは、会議室で資料に目を通す。
 護衛対象は元国会議員。当日はSPを二人連れて来るらしい。
 すでに犯行予告は届き、暗殺者も動いている。
 護衛日数は明日の一日。大阪への会議に出席し、ヨコハマへ戻る間。その間に襲ってくる可能性があるらしい。

「暗殺者は異能力者でしょうか?」

「たぶんね……あ、ここに写真が載ってる」

 海外の異能力者。鏡を生み出し、操る能力。

「ふぅん。裏社会じゃそこそこ名の知れた殺し屋ね」

「知ってるんですか?」

「名前だけね」

 そう言って、詞織さんはチョコレートを食べた。

「表面に物が映り込める場所なら、そこに入って隠れることができるらしい。例えば、窓ガラスとか、鉄とかね」

 その場合は模様が反転するらしいけど、と詞織さんはつけ加える。

「とりあえず、見つけたときは、壊せば本人も出てくるから」

 あとは、と白く細い指を顎に当てる。

「鏡を生み出して、剣やナイフみたいに使う攻撃スタイル。ある程度の遠隔操作が可能だから、気をつけておいた方がいい」

「わ、分かりました」

 緊張した面持ちで頷くと、詞織さんの紅い瞳と目があった。
 吸い込まれそうなほど綺麗な瞳が、ふぃっと逸らされる。

「はぁ……いっつもそうだけど、やる気でないなぁ」

 机に突っ伏す詞織さんに何も言えないでいると、会議室の扉がノックされた。
 返事をすると、小さな箱を三つ持ったナオミさんが入ってくる。

「失礼します。詞織ちゃん、チョコレートが届いていますわ」

「チョコ?」

 チョコレートと聞いて、詞織さんはのそのそと起きた。
 いつもチョコレートを食べているし、チョコレートが好きなのだと思っているけど、思ったほど反応は嬉しそうではない。
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