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血染櫻【文豪ストレイドッグス】

第37章 黒社会最悪のコンビ


 あたしは太宰さんの命令に従い、歪な化け物となったラヴクラフトを見据え、その体内にある自分の血液に意識を集中した。

 包帯で巻かれたギプスの中にある自身の血液の存在を確認する。
 血液は、小さな小瓶1本分。
 この量なら、最大で、4年前に中也の自動車を吹き飛ばした爆弾くらいの威力は出せる。

 ――パチンッ――――ドンッ!

 ――アァァアァァ

 ギプスに仕掛けられていたあたしの血液が爆発し、ラヴクラフトから悲鳴が上がり、同時に、顔と思しき部分にピシッ…ピキッ…と亀裂が入った。
 そこへ、月すら呑み込みそうなほどの巨大な重力子弾を生み出した中也が高く跳躍する。

「――やっちまえ、中也」

 その声が聞こえたわけではないだろうが。
 巨大な爆発が2人を呑み込む。
 隕石でも落ちたかのように、円形に大きく抉れた中央に立っていたのは、中也だけだった。

 ボタボタと落ちる黒い血液に構うことなく、中也は腕を振り上げ、何もない場所へ重力子弾を放つ。
 不気味に笑う中也に自我など見当たらず、適当に歩きながら無造作に重力子の弾丸を放ち始めた。
 大きく高笑いをする中也に、あたしは近づくことができない。

 ――ッ……ハハ……ハハハハ、ハハハハハッ、ハハッ!

 やがて、中也が掲げた手に、重力子が集まり、巨大なブラックホールを形成する。
 その手を、いつの間に近づいていたのか、太宰さんが掴んだ。

「敵は消滅した。もう休め、中也」

 太宰さんが触れた右腕から、急速に黒い侵蝕が引いていく。
 我を取り戻した中也が膝をつくと、まだ感覚が戻らないのか、地面がひび割れた。

「ゲホッ……この……クソ太宰……。終わったらすぐ……止めろっつうの……ゲホッ」

 彼に合わせて膝を折った太宰さんが頬杖をついて口を開く。

「もう少し早く止められたけど、面白くて見てた」
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