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血染櫻【文豪ストレイドッグス】

第21章 組合の長と探偵社社長


 あたしはそれを聞きながら、少しうとうとし始める。
 この話、いつまで続くんだろう。
 太宰さんの口先三寸で丸め込まれる敦。
 そして。

「君が守るんだ。大事な仕事だよ」

「分かりました! 頑張ります‼」

 太宰さんに乗せられて、敦のパープルゴールドの瞳が使命感に燃える。
 こんなヤツに負けたんだ、龍くん……。
 逆に哀れに思えてきた。
 国木田も遊ばれていることに気づいているようだが、太宰さんを止める様子はない。

「おい、詞織。太宰をマフィアから助けた際の報告書を出せ」

「眠い」

「早くせんか!」

「むぅ……うるさい……」

 太宰さんに関わることだから、とあたしは渋々自分の机へ向かった。
 太宰さんもあたしを止めることなく、頭を一撫でして解放してくれる。
 ちょっとやる気が出た。

 でも、何て書こうかな。
 マフィアの本拠地を知ってるのは変だし。
 構成員を偶然発見した……とか?
 何かいい感じに上手く誤魔化しておかないと。

「おい、太宰。お前も他人事ではないぞ。マフィアに囚われていた件の報告書を提出しろ」

「ふむ、仕方がない。詞織、私の報告書を書いてくれ給え」

「はい、太宰さん」

「詞織は自分の作業を続けろ」

「むぅ……国木田の命令なんて聞かないもん」

「期限は今日の昼までだ」

「ひ、昼まで……」

 太宰さんのまで書いてたら終わらないかも……。

「そういうことだ。太宰、報告書は自分で……」

「良いこと考えた! 国木田君、じゃんけんしない?」

「自分で書け」

 太宰さんの妙案を国木田はばっさり切り捨てるが、太宰さんはめげない。

「敦君、今日は君に報告書の書き方を教えようと思う」

「こ……この流れでですか?」

 どう考えても、自分で報告書を書きたくない魂胆が見え見えである。
 だが、太宰さんは声を低くし、表情を改めた。

「君にも関わる話だよ」

 あたしは報告書を書く手を止める。

「君に懸賞金を懸けた黒幕の話だ」

「分かったんですか⁉」

 太宰さんは押しつけようとしていた報告書を机に置いて話を続けた。
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