第17章 紅の櫻守
あたしは扉を護る構成員たちに蹴りを入れる。
突然の事態にも関わらず、すぐに銃で反撃しようとしたところは、さすがマフィアというべきだろうか。
けれど、あたしからしてみれば遅い動きだった。
あたしは血液を操り、彼らの銃を叩き落とす。
全部で4人。
あたしはその4人の首に紅い刃を突きつけた。
「だ、誰だよ、お前!」
そう言った男の首に刃を食い込ませる。
「ここの扉を開けなさい」
「誰がンなことするか!」
「死にたいの?」
良い人間になれ。
あたしには、やっぱり無理みたい。
けれど、それを最後の理性で押し留める。
あたしは4人のうちの1人に鋭い蹴りをお見舞いし、意識を刈り取った。
「……次は気絶じゃ済まさない」
あたし、あまり気が長い方じゃないの。
そう言って、あたしは紅い刃の切っ先を鋭くし、残りの3人を脅した。
けれど、3人は頑として口を割らない。
そりゃあ、そうだろう。
脅されたくらいでいちいち扉を開けていては、命がいくつあっても足りない。
ここを通せば、この4人は確実に殺される。
あたしは一つため息を吐いて、瞬く間に残りの3人も昏倒させた。
そして、4人の服を改める。
すると、そのうちの一人の服から、12桁の数字の羅列が記載されたメモが出てきた。
あたしはそれに驚きつつも、暗証番号ではないか、と思い当って入力する。
どうやらこの連中は、あたし以上に頭が足りないようだ。
番号を入力すると「実行」の文字が電子版に表示され、扉が開く。
今日のあたしはツイているらしい。
あたしは躊躇なく中に侵入した。
裏切り者を捕らえるとしたら……獄舎か。
わざわざ異能を使うまでもない。
隠れることもしない。
攻撃してくる奴らは全員倒して、目的の場所へ急いだ。
そして。
「何って……見たままだよ。捕まって処刑待ち」
太宰さんの声に、あたしは足を急がせる。