第15章 鏡の襲撃者
考えの浅いあの人のことだ。きっと、自分が死ぬわけがないと考えているのかもしれない。
本当にこの人は、命を狙われるほど国会に影響を及ぼす人物なのかな、とか政治に関心のない僕は考えてしまう。
これから僕たちはヨコハマへ帰る。
このまま何もなければいいけど……そんなことを思っていたときだった。
背筋がゾッと粟立った。
次の瞬間――物凄い速さで何かが視界を横切る。
それを僕の目が捉えるのと同時に、紅い飛沫が上がった。
「…………っ」
元議員を庇った詞織さんの肩に、ガラスの破片が深く突き刺さる。
「詞織ちゃん⁉︎」
「動かないで‼︎」
咄嗟に駆け寄ろうとした錦戸さんを詞織さんは制した。
駅構内に悲鳴が上がり、近くにいた人たちは一斉に逃げ出す。
よく見ると、詞織さんの肩に刺さっているガラスが、はっきりと僕の姿を映していた。
ガラスじゃない。これは鏡だ。
「敵の異能力者の攻撃よ。最終手段として用意されていた……っ」
そう言いながら、詞織さんは肩に刺さっていた破片を引き抜いて捨てた。
「詞織ちゃん、すぐに手当てを……」
「このくらい何てことない。それより、敦。構内にいる敵異能力者を探してきて」
「ぼ、僕がですか?」
突然の指名に戸惑う僕を、いつにも増して真剣な声音が肯定する。
「他に誰がいるの? あんた一人で三人も守れるわけ?」
「待て。俺たちも一緒に……」
自分も守られる人間に入れられたことが不満だったのか、吾妻さんが口を挟むが、詞織さんはそれを却下した。
「相手は異能力者だと言ってるでしょ。拳銃や警棒で太刀打ちできる相手じゃないの」
グッと吾妻さんは悔しそうに唇を噛む。握り締めた拳が微かに震えていた。
それを他所に、詞織さんは僕を呼ぶ。
「いい? 遠隔操作で相手を攻撃するには、相手の場所を正確に把握しておかなければならない。ということは、少なくともあたしたちを視認できる場所にいるはずよ」
行ける人間は僕しかいない。
僕は決意を固め、一つ頷いた。
それを見た詞織さんは、懐から瓶を取り出す。