第15章 鏡の襲撃者
「丸腰じゃ不安でしょ。戦闘になったら叩き割りなさい」
「これは?」
手のひらよりやや大きい瓶には、紅い液体が並々と注がれていた。その瓶を凝視していると、何でもないことのように彼女は答える。
「あたしの血よ」
「えぇ⁉︎」
思わず落としそうになり、僕は慌ててもう一度それを掴んだ。
「ちょっと、気をつけてよね! そう何本もないんだから!」
「す、すみません」
不意に、鏡の破片が再び元議員を襲う。詞織さんはそれを、流れ出た自分の血液を操って阻止する。
「ここは任せて、早く行きなさい」
「はい!」
はっきりと返事をして、僕は駆け出した。