第10章 少しずつ…
「そーいえばさ、バスケノート、まだ書いてんの?」
背後から頭に手を置かれ、そう聞かれる。
「書いてるよ。」
手をはらいのけ、振り向く。
「へー。誠凛って誰がいるっけ…?黒子?」
「うん。」
「あー…あの…影うっすい奴。」
「そう。」
すると、目を細める兄。
「なんで誠凛?」
「…関係ないじゃん。」
「冷たいねぇ…。」
兄は私に過保護すぎる。雨がポツポツ降っているだけなのに、傘を持って迎えに来るし。風邪をひいた時も、高校の部活を休んでまで家に帰ってきた。その他にもいろいろ。
高校の部活ではバスケをやっているらしい。虹村と同じ高校ではないけど、主将らしい。アメリカに来ないか?と父に誘われるほどで、バスケのノートに書くのにも参考にさせてもらっている。
「朝ご飯は?」
「…いいや、俺。菜月とバスケしに行く。コンビニかどこかで食べ」
「食べていきなさい。」
「……へーへー。」
「ほらまたぁ!」
「はーい…。……めんど…。」
「聞こえてるわよ!」
小声で言ったのに、聞こえていたらしい。
「いただきます。」
「あれ?約束してないのにいいんだ?」
「ん、今日、暇だったから。」
「…兄ちゃんの遊びに付き合ってくれるって?」
「うん。」
「やっさし~。じゃあこれあげるよ。ヨーグルト。」
「ちゃんと食べて。だから健康診断でもっと太りましょう。なんて言われるんだよ。」
「そりゃ菜月もだろ?」
「…」
「お互い様。ちゃんと食べなさい、2人とも。」
『はーい。』