第10章 少しずつ…
そして、朝ご飯を食べ終え、兄と一緒にバスケットコートへ向かった。
黒いTシャツに白いハーフパンツを履いている。靴は黒いスニーカー。
「…ノート、見せてみ?」
「…?」
私は誠凛で使っているノートを渡した。
「そっちじゃなくて、帝光の時の。ま、こっちも見るけど。」
「…」
私は合計で3冊、兄に渡した。
「…こんなことまで書いてんだ…。」
ノートをペラペラめくっていき、そう呟いた。
「…!お前…これ…どうやってこの情報手に入れた?」
「え…?」
兄の指さしている部分を見た。それは、誠凛のチームの全員の苦手な部分、得意な部分、それから、どの相手が苦手か、体力、瞬発力、力、などだった。
「…だいたい、見てればわかるし、体力とか瞬発力も…見てればだいたい…。」
「マジかよ……。」
兄が唖然とした声を出す。
「…サンキュ。んじゃ、バスケ始めるか。」
「うん。」
ノートをバッグの中にしまうと、兄のバスケに見入った。
「…何かアドバイスある?」
「…練習、3日サボった?」
「…な、なんで…?」
「それか、部活には行ってたけど、真面目にやってなかった?」
「うっ…。なんでわかんの…?」
「動きが鈍くなってるのと、ジャンプ力が落ちてる。」
3冊とは、また別のノートに記録した。
ノートは全部で4冊持っている。帝光中の時のノート2冊、誠凛で使っているノート1冊。そして、兄や他人のバスケのプレイを記録するノート1冊。