第10章 少しずつ…
「菜月さん、人の話聞かないで言っちゃうなんて酷いです。」
不機嫌な黒子。
「ご、ゴメン…。」
「ちゃんと送るって言ったでしょう?」
「…ゴメンなさい…。でも…もうスッキリした。言いたいこと言えたし。」
「じゃあ帰りますよ。」
私の腕を掴み、黄瀬から離させる。
「うわぁ、黒子っち!ダメッスよ!邪魔しちゃ…!」
「抜けがけはダメです、黄瀬君。」
「そんなつもりはなかったんスけど!」
「ぬ、抜けがけって…?」
「…何でもないですよ。」
黒子は微笑む。
「…?」
それから、家に送ってもらった。
「ありがとう、毎日ゴメンね?」
「いいんです、僕がしたいだけですから。」
「…ありがと。火神君もね。」
「ああ。…そ…そういえば…よ…。」
「…?」
「海常との練習試合ん時、その……。」
「…ん?」
「っ…あぁ、何でもねぇ。」
火神がそっぽを向いた。
「そう…。じゃあ、また月曜日、バイバイ。」
「おやすみなさい、菜月さん。」
「じゃあな。」
「うん、おやすみ、テツ君、火神君。」