第1章 中学時代
「いい加減にしろよ、テメェ。」
「!…」
その声が聞こえたかと思ったら、解放された体。掴まれていた腕も、解放されていた。
背後には青峰が立っていた。
「だ、だい…き…。」
「お前、練習中にいないし、気合い入んなかったんだけど?」
「!…ご、ゴメン…。」
「ほら、行くぞ。」
ギュッ…と手を握られた。
「!…」(あ…れ…?嫌じゃ…ない…?)
灰崎限定で、あれは嫌なのかもしれない。
「おい、大輝!まだ話は終わってな」
「うるせぇな。騒いでんじゃねーよ。バスケしないくせに部活来てんじゃねーよ!」
「!…あ?」
灰崎の額にムカムカマークが浮かんでいる。
「だ、大輝…。」
「お前ももっと断れっつーの!」
額にデコピンを打たれた。
「っう!」
「バーカ。ほら、行くぞ。」
「ちょっ…まだスポドリ作ってない。」
「は!?どんくさ!」
「うるさいなぁ!大変なんだよ!」
いつの間にか、灰崎はいなくなっていた。
「手伝ってやるから、ほら。」
手が離された。そして、スポドリを作り、体育館に戻った。
「お疲れ様。」
また、みんなにスポドリを渡していく。灰崎が来た。ということをさつきに話したら、もの凄く心配をしてくれた。
「何かされなかった!?大丈夫!?何かあったら言って!?」
さつきも灰崎のことを警戒しているのか、気をつかってくれる。