第9章 絶体絶命!?
「はい。」
「っまぁ、今日は見に来ただけらしいッスわ。…それより…。」
そう言い、空を見上げる黄瀬。立てていた脚を伸ばした。
「黒子っちにもフラれ、菜月っちにもフラれ、試合にも負けて、高校生活でいきなり踏んだり蹴ったりッスわ。」
すると、お尻でバランスをとり、額にバスケットボールを乗せた。
「ダメ元でも…っ…!一応マジだったんスよ…ぉ…。」
「ひっくり返りますよ。」
そう言うと、俯く黒子。
「すみません…。」
すると、黄瀬がベンチから降り、黒子に駆けよる。
「冗談ッスよ。そんなことより話したかったのは、わけを聞きたかったんッスよ。」
バスケットボールを上げ下げした。
「何で、全中の試合が終わった途端…。」
黒子のバスケットボールを軽く投げる黄瀬。それをキャッチした黒子。
「姿を消したんスか?」
「…」
*
「全く、誰も気づかないなんて。影薄いにも程があるわ。」
「黒子、アイツ携帯持ってねぇのかよ。」
皆が歩いた。
「てか、すぐフラフラどっか消えるって、子犬か!」
「それより早く見つけましょ。逆入りの刑は、それからかな。」
「!?…」
それから……。
火神が私達の近くまで来ていた。ストリートバスケを見ていた。
「…ん~…わかりません。」
表情をへの字にすると、黄瀬は驚いた。
「!…へ…?」
「帝光の方針に疑問を感じたのは、確かに決勝戦が原因です。あの時、僕は何かが欠落していると思った。」
「スポーツなんて、勝ってなんぼじゃないッスか。」
「!…」(…やっぱ…黄瀬君…わかってなかった……。)
「それより大切なことなんてあるんスか?」
「っ…黄瀬君。」
「!…」
「…やっぱり…わかってない…。」
「わ、わかってないって…何が…?」