第8章 練習試合と一歩動いて…
「フッ…く…ははははっ…!!」
『?』
皆が火神の方を見た。
「悪ぃ悪ぃ…。ちょっと嬉しくってさ。」
「嬉しい?」
「そういうこと言ってくれる奴、久しぶりだったから。」
「…?」
「向こうじゃそれが普通だったんだけどな。」
「向こう?」
「アメリカ。」
「え…!アメリカいたの?すげぇ…!」
「こっち帰って、バスケから離れたのは早とちりだったわ。ハリが出るぜマジで。やっぱ人生、挑戦してなんぼじゃん。強ぇ奴がいねぇと、生きがいになんねぇだろ。勝てねぇぐれぇがちょうどいい!」
「!…」
黄瀬も驚いていた。
「…」(火神君…。)
私は、口元が緩んでいた。
「まだまだこれからだろ。聞いてもいねぇ御託並べんのは、早ぇんじゃねーの?おかげでわかったしな。お前の弱点。」
「なっ…!」
「自分から言い出しづらかったのも、ちょっとわかるわ。見ればできる。見えなかったら?そもそも元から薄いのが前提じゃ、やれって方が無理な話だろ。いくら身体能力が優れているお前でも、影を極限まで薄めるバスケスタイルだけはできない。つまり…。」
そう言い、火神が黒子の頭を持ち、ひきよせる。
「コイツだろ?お前の弱点。」
「!…」
「へへへへっ…!!」
「何するんですか…。」
「…」(…黄瀬君の弱点…やっぱり気づかせた方が良かったんだ。)
私はそう思い、うっすらと微笑む。
黒子自身も気づいていなかった。自分が黄瀬の弱点だということに。