第8章 練習試合と一歩動いて…
「よーっしゃあ!」
ガッツポーズをした火神の右手にはリングが握られたまま。リングがとれたのだった。
「やっぱり…。」
「おぉっ!?ゴールぶっ壊しやがった!」
「嘘だろ?信じられねぇ!」
「…ど、どうして…。」
私の方を驚いた表情で見た監督。
「…あっちのリング、部品が外れてて…。」
「え!?あ…す、すいませんでしたぁ!!」
武内監督に頭をさげる監督。
「すいません。ゴール壊しちゃいました。これじゃあ試合にならないんで、前面側のコート、使わせてもらえませんか?」
怒っている監督。
苦笑いを浮かべる私。黄瀬と目が合い、クリップボードを持ったまま、手を合わせる。
「ゴメン…。」
笑いながらヘラヘラと手を振る黄瀬。「いいよ!全然!」と言っていた。
「っはは!確かにあれはギャフンッスわ。」
「あ?」
「監督のあんな顔、初めて見たし。」
「人をなめた態度ばっかとってっからだっつっとけ。」
「ゴールっていくらぐらいするんですかね?」
「え!?あれって、弁償……。」
「それでは、試合を再開します!」
「お、おぉっ…。」
すると、黄瀬が試合に出てきた。
「お待たせ。」
「やっと出やがったな…。」
「スイッチ入ると、モデルとは思えない迫力出すな。」
「だてじゃないですよ、中身も。」
すると、女子の甲高い声が体育館に響く。
「っ…!?なんじゃい!」
「あぁ…あれ?アイツが出ると、いつもッスよ、ていうか……テメェもいつまでも手とか振ってんじゃねぇ!しばくぞ!!」
腰に蹴りをいれる笠松。