第8章 練習試合と一歩動いて…
「で…あの…これは…。」
「見たまんまだよ。今日の試合、ウチは軽い調整のつもりだから。」
「調整……。」
「出ない部員に見学させるには、学ぶものがなさすぎてね…。」
「は、はあ…。」
「無駄をなくすため。他の部員達には、普段どおり練習してもらっているよ。だが調整と言っても、ウチのレギュラーのだ。トリプルスコアになどならないよう頼むよ。」
監督が握り拳をつくった。そして…青い炎が……。
「なめやがって……。つまりは練習の片手間に相手してやるってことかよ。」
皆、イラついていた。
「よっ…と…。」
「あ?黄瀬、何ユニフォーム着とるんだ?お前は出さんぞ。」
「え?」
「各中学のエース級がゴロゴロいるウチの中でも、お前は格が違うんだ。」
「ちょっ…!監督やめて!そういう言い方マジやめて!」
「お前まで出してしまったら、試合にもならなくなってしまうだろう…。」
そう言い、武内監督は去っていく。
「言ってくれるねぇ…。」
「久々にカチンときた。」
「っは…すいません、マジすいません!ベンチには俺入ってるから!あの人ギャフンと言わせてくれれば、多分俺、出してもらえるし…。」
小声で言う黄瀬。
「それに……そもそも俺を引きずり出すこともできないようじゃ、キセキの世代を倒すとか言う資格もないしね。」
「おい、誠凛の皆さんを更衣室に案内しろ。」
すると、移動しながら黒子が言った。
「いや、アップはしといてください。出番待つとかないんで。」
「え?」
黄瀬がニヤリと笑みを浮かべた。