第7章 黄色い髪の彼
体育館の外が騒がしい。見ると、体育館のステージのところに行列が出来ていた。2階にもぎっちり…。
「!…」
私は、持っていたクリップボードを落としそうになった。
クリップボードに挟まれている紙には、誰にも見せていないけど、部活での出来事や、1人1人の苦手な部分、得意な部分、アドバイスなどを書いている。
「なっ!?え?何…!何でこんなにギャラリーできてんの?」
「ん…あぁ…もう…こんなつもりじゃなかったんスけど…。」
「アイ…ツは…。」
黒子と目が合うと、黒子は軽く頭をさげた。
「お久しぶりです。」
「久しぶり。」
「黄瀬涼太…。」
「…すいません、マジで…えと……ていうか…5分待っててもらっていいッスか?」
そう言うと、行列はすぐになくなり、2階にも人はいなくなった。
「よ…っと…。」
ステージから降りる黄瀬。
「なっ…何でここに…!?」
「いやぁ…次の相手誠凛って聞いて、黒子っちと菜月っちが入ったの思い出して…。挨拶に来たんスよ。中学の頃1番仲良かったしね。」
「普通でしたけど…。」
「酷っ!!うぅっ…。」
泣いた黄瀬。
「黄瀬涼太…。中学2年からバスケを始めるも、恵まれた体格とセンスで、瞬く間に強豪帝光でレギュラー入り。他の4人と比べると、経験値の浅さはあるが、急成長を続けるオールラウンダー。」
「中2から!?」
「い、いやぁ…大げさなんスよその記事、ホント。キセキの世代なんて呼ばれるのは嬉しいッスけど、その中で俺は1番したっぱってだけですわ。だから黒子っちと俺はよくいびられてたよね。」
「僕は別になかったです。」
「あれ!?俺だけ!?」