第21章 WC予選
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「青峰君!またそんなところでサボってる!!」
屋上でサボっている青峰を見て、さつきが言った。
「うっせぇよさつきいーんだよ!」
「良かないわよ!テツ君の新技だって…!」
「んなもん練習してどうにかなるもんでもねぇし、する必要もねーよ。俺に勝てるのは…俺だけだ…。そもそもウィンターカップ出場も決まってんだ。眠くもなるだろ。」
「バカ!!」
「るっせぇな…お前もちったぁ、菜月みてぇになったらどーだよ。」
「どういうことよ!」
「こう…小動物みてぇに…。」
そう言い、青峰は携帯を開いた。そしてアルバムを開いて、ある1枚の写真を見つめた。
それは、中学の頃に撮った私と青峰のツーショットの写真。膝を曲げて座っている青峰の脚の間に私が入り、膝を抱えて座っている。そこで青峰が手を伸ばして私とくっついて写っている写真。
「……会いてぇ…。」
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「特別枠…?」
「今年のウィンターカップは、何周年だかの記念大会らしい。インターハイ優勝、準優勝の2校は無条件で出場確定。その分出場校が増えるそうだ。つまり、敦の友達の青峰君と赤司君は特別枠。黄瀬君と俺達は通常枠で出場決定。」
「ふ~ん。」
凍らせていないチューペットを咥えながら、紫原は言った。チューペットやポッキンアイス、いろんな呼び名があるらしい。
「ていうか室ちん。随分熱心じゃん。」
チューペットを手で持ち、横目で氷室を見ながら言った。
「そりゃあ俺はインターハイ出てないからな。大我とやるのはもちろん、敦の仲間とやるのも、楽しみでしょうがないよ。」
「……なつちん…。」
「そんなにあの子のことが気になるのかい?」
「まぁね…。」
「珍しいね、敦がそこまで気にかける人物がいるなんて。」