第21章 WC予選
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「お~い、真ちゃん。ん…?」
テーピングを指に巻き終えたところで、高尾が控え室に現れた。
「今日のラッキーアイテムって、それ?」
歩きながら話しかけてきた高尾。
「木彫りの熊。馴染みの骨董品屋で手に入れたのだよ。」
「同じやつ持ってたじゃん。」
「こっちの方が大きいのだよ。」
「へぇ~!先輩達もう揃ってんぞ。それ持って早く来いよな。重そうだけど。」
そう言うと、高尾は控え室から出ていった。
ブーッ…ブーッ…。
「!…」
スクールバッグの上に置いてあった緑色の携帯が振動した。メールだった。
*
「マンツーきっちり!!気ぃ入れろぉ!!」
次々と部員を抜いていく黄色い髪の毛の選手。
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
そしてダンクを決めた。
「よぉ~し!休憩だ!」
休憩時間になり、笠松の声が響いた。
「お疲れ様ッス。」
さっき、部員を次々と抜いて、ダンクを決めた黄色い髪の子。それは…紛れもなく、黄瀬涼太で……。
「!…サンキュ…。まだまだしめてかねぇとな…。」
ブーッ…ブーッ…。黄瀬の携帯が振動した。バッグから携帯を取り出し、内容を見る黄瀬。
「!…出場決まったからって、のんきにメールか。女だろ。」
「違ぇッスよ。」
笑いながらメールの内容を見た黄瀬。
差出人:緑間っち
宛先:黄瀬涼太
11月7日 13:05
死ね。
「先輩!!頑張れの返信が死ねってどう思うスか人として!!」
「わかんねぇけどそのままだよ!どうせ!」
笠松に足蹴りをくらう黄瀬。