第20章 紫色の…
「…菜月。」
「…」
「やはり、菜月は僕のそばに置いておくべきだった。」
「!…」
「菜月がいれば、面白い展開はいくらでも作れただろう。」
「…どういう…こと…?」
「僕は菜月にとても興味がある。菜月には、人を惹きつけさせる何か、魅力が感じられる。」
「…ありがとう…。」
「…」
「…あのね、私…今の赤司君が凄く怖いんだ。」
「!…」
私は少しだけ、伝えることにした。
「…っ…征…君は…誰よりも優しくて…面倒見が良くて…征…君の…そばにいると…凄く…落ち着いたんだ…。」
「…」
「っ…でも…今は違う……怖い…。今…こうして声を聞いているだけで…怖いんだ…。」
「…何を恐れる必要があるんだ?僕は何も変わっていないだろう?」
「…だから…もうやめる。」
「…」
「絶対、試合…しようね。赤司君。」
「…」
「またね。」
私は強制的に電話を切った。
*
「…またね…か……フッ…。」
赤髪の彼は…また暗い教室で…将棋を指した。
「やはり君は本当に…興味深いね……いつか…会える日が楽しみだよ…
菜月?」