第20章 紫色の…
バチバチと火花が散っていた。
「なつちんは黒ちんのじゃないでしょ。」
「僕のです。」
「は?いつ決めたの。」
「彼女はずっと前から僕のです。」
「何言ってんの、ひねり潰すよ。」
「だあああ!もう!!風邪ひいちまうだろうが!」
火神のその一言で、結局その場で解散することになった。私達は改札口の建物の中で雨宿りをした。
「んあ…?」
「どうした?」
「監督が、今から学校来いって。」
「え?」
「!…」
黒子が私の頭を拭いてくれていた。
「ワンッ!」
私達はその後、電車に乗って学校へ向かっていた。
「やけに険悪な挨拶だったな。アイツと、仲悪いのか?」
「そんなことないですよ。」
「!…は…?」
「人としてはむしろ好きです。ただ選手としては、お互い気が合いませんでした。」
「…」
「なぜなら彼は、バスケ自体が、好きではありません。ただ好きでなくても、彼は天才でした。」
「…」(紫原君…。)
「やる気がなくても出来てしまう。そうしてバスケを続けていくうちに、彼はバスケに興味のないまま、センターとして圧倒的な選手になりました。だから、才能があれば好きである必要はないと思っているし、逆に好きでも、才能がない奴は、見ててイライラする。以前そう言っていました。」
降りる駅に着いて、傘をさしながら話した。
「確かにバスケを好きなだけでは、勝てないかもしれないです。けど、やっぱり好きだから頑張れるし、勝ったとき、心の底から嬉しいんだと思います。」