第20章 紫色の…
「おぉっ…!」
「木吉先輩にイグナイトパスだ!」
木吉はそのままダンクを打った。紫原は跳びもせず、ただ見つめていただけ。
『おぉっ!!』
小さな歓声が起こった。
「ま、忘れられちまったもんはしょうがない。バスケで思い出してもらうしかないな。」
「…いや、もういいよ。思い出したし、木吉鉄平。おかげでやる気が出ちゃったな…。」
「…」
すると、風が吹いた。
「忘れたままの方が良かったかもよ。」
「…」
そこから先の声がよく聞こえなかった。何かをはっきりさせよう…とかそういうことしか聞こえなかった。氷室は火神の前に立ち、1度しゃがんでシュートモーションに入った。
そして……。
「!…」
氷室がシュートを打って、綺麗にゴールリングに入ったボール。
「おぉっ…!思わず実況も沈黙…!」
「…凄い…。」(何…今のシュート…。)
ストリートのバスケ。だからと言ってノートを置いてきてしまった。失敗だった。
雲行きが怪しくなってきて、雨が降りだした。
「!…」
「福田君!ください!」
福田が黒子にパスを出すと、黒子が火神にパスを出した。
「おわっ!?速攻!」
「てかなんだ今のパス!」
「勝負だ!紫原!」
「暑苦しいなぁ…もう…。そんなウキウキ熱血しないでよ。ひねり潰したくなる。」
「!…」
すると、降っていた雨が大雨になった。