第20章 紫色の…
「とりあえず、最後に手を抜いた火神君が悪いと思います。」
「!…」
「…」
「っ…それは…!もしあそこで勝ってたら…!」
「氷室さんを兄とは呼べなくなるし、そもそも本調子でないときに勝つのは不本意だったかもしれません。けど、大好きなバスケで手を抜かれて、嬉しい人はいないと思います。」
「!…」(…青峰君の…時の…?)
「それに、兄弟分じゃなくなったとしても、2人が別人に変わってしまうわけではないでしょう?」
「…そうだな…。そもそも俺がバスケを好きな理由は、強い奴と戦うのが楽しいからだ。それはやっぱり、辰也が相手でもそうだ。だから、サンキュ、黒子。」
火神はネックレスに付いているリングを握り締め、氷室の方を見た。
「腹は決めた!もし戦うことになったら、何があっても全力でやるよ辰也!」
「あぁ、今日当たるのを楽しみにしてるよ。」
そう言うと、氷室は黒子を見つめた。
「ところで、君。」
「…?」
「ゴメン…誰…だっけ…?」
『!?…』(やっぱり認識されてなかった!!)
「黒子テツヤです。初めまして。」
「そうか…君が…!面白い相棒を見つけたな、大我。」
「…?」
「ちょっ…!辰也!黒子のこと知ってるのか?」
「あぁ、ちょっとね。実は俺がいるチームにも、面白い奴がいるんだ。」
「!…」(やっぱり…それって…。)
「ん…?君は…。」
「え…?」
氷室が私の顔を覗きこむようにして見つめた。
「…君、名前は?」
「え…あ…菜月…です…。」