第20章 紫色の…
氷室は英語を喋りながら火神に近づいてきた。何か話しているようだった。
「あぁ、日本語で大丈夫。向こうが長くて、まだ慣れてないだけだから。」
木吉が英語で喋ると、氷室はそう言った。
「良かった。助かるわ。」
「…友達とは違うよ。しいて言えば、兄貴かな。」
『!…』
「!…」(大我君の…お兄ちゃん…?)
そこから、2人の話を聞かせてもらった。兄弟の証としてリングを買ったこと。火神が氷室と本気で戦わなかったこと。次の試合で、このリングを賭けて戦うよう、言われたこと…。他にも、いろいろ。
「あの時は残念だったが、俺も今年から日本に帰ってきて、今は陽泉高校に通ってる。」
「!…」
木吉のが見開いた。でも、それは私も同じだった。
「!…」(陽泉って…確か…。)
「いつかきっとと思っていたが、今日こそ、あの時の約束を果たそう。」
そう言い、氷室は背を向けて歩いていこうとした。
「っ…辰也。」
「…なんだ?」
立ち止まり、顔だけ少し横に向けた。
「…俺は…もう…お前とは…。」
火神が何かを言おうとしたとき、黒子がテツヤ2号を持ち上げ、2号にパンチさせた。2号のパンチは、火神の頬へ…。
「…」
「!…いってっ…!2号!っ…連れてきてたのか!」
「火神君にウジウジされるとうっとおしいです。」
「は!?」
「話はだいたいわかりました。」
黒子はそう言い、2号をおろした。2号は私の足にスリスリとすり寄ってきた。