第19章 偵察
「…」
青峰が今、どんな表情をしているのかわからなかった。
「……お前、俺と黄瀬との試合見て、どう思った?」
「え?」
「…コピーされた挙句、4ファウル貰った俺が、ダサく見えたか?」
「そんなことないよ…。」
「…」
青峰は黙ってしまった。
「そろそろ帰るね。テツ君に電話してくる。」
立ち上がろうとしたとき、お腹の方に手を回され、また引き寄せられた。
「っあ…!危ないってば…。」
「…お前、ホント…なんで桐皇来なかったんだよ。」
「…また…その話…?」
「…」
「…テツ君と同じところに行きたかったから。」
「お前、そんなにテツと仲良かったかよ。中学んとき。」
「…」
きっと、他のキセキの世代に、どれだけ同じ高校へ行こう。と誘われても、私は誠凛を選んだと思う。黒子のいる高校へ行きたかったのだ。
「やっぱお前、変わっちまったな。」
「…帰る。」
私は立ち上がり、体育館を出た。青峰は追ってこなかった。
「…!」
「酷いじゃないですか、連絡してきてくれないなんて。」
すっかり忘れていた。黒子が門のところで待ってくれていた。
「ご、ゴメン…。」
「…」
「お…怒ってる…?」
「……別に…怒ってません。」
「…」(怒ってるじゃん…。)
イライラしている黒子の機嫌をなんとか直しながら、私は家に帰った。