第19章 偵察
「あ…の…今吉…先輩…?」
「ワシは…菜月のことが…」
「いくらアンタでも、それ以上は許さねぇぞ?」
「!…」
後ろから声がして振り向くと、そこには青峰が立っていた。
「青峰~。今ええとこやったやんか。」
「コイツは誰にもやらねぇよ。つか、お前いろんな奴に好かれすぎなんだよ。」
「あ、青峰君。」
「あーあ、凄い番犬が付いてるんやなぁ?これは厄介やわぁ。」
そう言い、今吉が立ち上がった。
「まだ後戻りできる状態で良かったわ。菜月が誰にもんになるのか、ホンマ楽しみやわ。」
「え?」
「でも、良い男がおらんかったら、いつでもワシのとこ連絡してきーや?」
今吉は私の頭を撫でると、体育館を出て行った。
「…」(連絡してきーや。って…今吉先輩の連絡先知らない…。それに…良い男がおらんかったら。って…何?)
「はあぁ…。」
「…?」
「お前、無防備すぎんだよ。」
「え?」
青峰は私を抱き上げ、後ろから抱きしめた。青峰の吐息が耳にかかり、くすぐったかった。
「お前、なんでそんないろんな奴から好かれんの?」
「わっ…!」
青峰はそう聞くと、私を抱きしめたまま壁に背をつけ、腰をおろした。
「あ、青峰君…危なかった…!」
「お~、悪ぃ悪ぃ。」
「…」(絶対悪い。って思ってない…。)
「お前、やっぱ一緒にいると落ち着くわ。」
「!…」
青峰が私の肩に顔をうずめた。