第19章 偵察
「お~、おかえり~。どうだった?」
「…凄かった、皆、まだまだ進化し続けるんだと思う。」
「フッ…そんなん、当たり前だろ?」
「…うん。」
兄は料理を作っていた。
「あ、そうだ。」
「…?」
「俺、アメリカに行くことになった。」
「……え!?あ、アメリカ!?」
「うん。父さんが、1週間でいいからアメリカに来てみないか。って言ってて、結構前からその話出てたんだけど、曖昧な答え返してて、結局引き伸ばしててさ。」
「い、1週間って…。」
「まぁ、お試しみたいなもん?だいたい英語は喋れるし、父さんの住んでる家に泊まらせてもらえばいいし。」
いきなりのことで頭が追いついていかない。
「えっと…もう行くの?」
「まぁな。だから、ウィンターカップ、もしかしたら観れねぇかもしれねぇ。」
「えっ…?い、1週間って…ウィンターカップまではまだまだ時間あるよ?」
「…多分、あっちでバスケして実力見せたら、あっちの監督はそう簡単に日本には帰らせてくれねぇって、父さんに言われた。」
「…」
「まだわかんねぇけどな。でも、手抜いてバスケしてたら、なんだコイツ、全然できねぇじゃん。って思われて父さんの評価下がっても嫌だし。」
話していても料理を作っている手は止めなかった。
「…いつまでも、貴重なお誘いから逃げてるわけにもいかねーし。な?」
「…うん。頑張ってね?どこにいても、応援してるから。」
「フッ…サンキュ。」