第19章 偵察
「…私は…。」
「ん?」
「正直言って、今吉先輩が苦手です。」
「…え!?」
言葉の意味を理解したあと、今吉は私の方を見てガッカリしていた。
「…試合を見ていて、本当に怖い人だな。と思って…。」
「そ、それで…に、苦手になったん…?」
「はい。あ…でも、正確に言えば、苦手…でした。」
「!…」
「…普通なら、練習に出ない青峰君を試合には出さないはずです。でも今吉先輩は、そんな青峰君を受け入れてくれて……それに、なんか…頼れる先輩。って感じがして、今は…その……普通です。」
「…いや普通て…。そこは好き。って言うてくれてもええやん…。」
ガッカリしていたけど、今吉は私の頭を撫でた。
「でもホンマ、かなわんなぁ~。」
「……今吉先輩って、モテませんか?」
「え?ワシが?」
「はい。」
「ははっ!どーやろなぁ?」
「…」
「…ほんなら、ワシと付きおうてくれる?」
「え?」
「菜月みたいのが彼女になってくれたら、ワシ、ホンマに嬉しいわ。」
「…でも、他校だから…あんまり会えないですよ?」
「そんなん関係あらへんわ。ワシが会いに行ったる。」
今吉は笑っていたけど、目は真剣だった。
「寂しい思いとかさせへんし。」
「…でも、2つも歳離れてますし…。」
「全然?関係あらへんわ。」
「……でも…すみません…恋愛とか…よくわからなくて…。」
「ほんならワシが教えたろか?」
「え?」
今吉が私の顎を少しだけ持ち上げ、ニヤリと笑みを浮かべた。