第19章 偵察
「あ!青峰君も、凄い。」
「あ?」
「だって、フォームレスシュート打てるし、ストリートのバスケも出来るし…!ダンクも出来て、それからそれから…」
「あ~はいはい。もういいっつーの。」
「え?もっとたくさんあるのに。」
「わーったから、ちょっと黙れ。」
「…わかった。…もしかして照れてる?」
「うるせーよ…//////」
青峰は顔をそむけていた。
その後も、なぜか青峰は私に付き合ってくれた。
「ほな、そろそろ練習終わりにしよかー。」
今吉の声が聞こえ、皆が片付けを始めた。
「え…あ…!」
気づけばもう17時だった。
「…はぁ…。」(偵察…全然できなかったし…。)
「菜月おら、もう1本。」
「もう片付けだって。」
「あ?あと1本。」
「…はい。」
それから……。
「はぁ…。」
青峰の教え方は、上手だけど厳しい。
私は体育館の出入り口の少し横、青峰が座っていたところに座り、息を整えていた。
「おつかれさん。」
「!…」
声が聞こえ、顔をあげると、そこには今吉が立っていた。
「あ、ありがとうございます…。」
今吉は冷えたペットボトルのスポーツドリンクをくれた。
それを受け取り、頬を冷やした。
「凄かったなぁ。」
「え?」
今吉は喋りながら私の横に腰を落とした。
「青峰が、あんな熱心にバスケ教えてるとこ、見たことなかったわ。」
「…」
「アンタには、何かしらの才能があるかもしれんわ。」
今吉は正面を向いたままそう言った。