第19章 偵察

「はい、もしもし？」

「あ、もしもし、僕です。」

「！…テツ君。どうしたの？」

「今日で偵察は終わりですよね？何時頃に帰ってきますか？」

「え？あ…どう…だろう…。」

「それじゃあ、帰る頃になったら連絡ください。」

「うん、わかった。」


そう言うと、電話が切れた。私はまた体育館に戻った。


「菜月。」

「ん？」


青峰が私に話しかけてきた。真剣な話かと思い、私は青峰と目を合わせた。


「…お前さ…。」

「…」

「…マジでバスケ下手だよな。」

「…え？」

「ははっ！！」


そして笑われた…。


「で…出来るもん…！」

「へーへー。」

「信じてないじゃん！」

「当たり前だろ。中学の頃からお前はなんも変わんねぇよ。」

「っ…こ、これから上手くなっていけば…いいもん…。」

「上手くなれんのかよ。」

「なれる…！」


すると青峰が立ち上がった。


「…？」

「来いよ、特別に俺が、特訓してやるよ。」

「！…」


青峰が今吉達がいるコートとは反対側のコートに向かって歩いて行った。もう片方の半面を使おうとしていた。


「おう、お前そこどけ。」

「え…。」


練習をしていた部員を押しのけていた。


「ちょっ…青峰君…！」


私は追いかけた。


「おら、早くやんぞ。」

「え…。」


どいてくれた部員。

若松は相変わらずイライラしているものの、今吉は許していた。それより、皆、視線が私達に釘づけになっていた。