第19章 偵察
「今吉さん。見学者の方が来ました!」
「お?今日そんなん来るって言うてたか?」
「いえ、急遽です。」
「はぁ?」
今吉がさつきに近づいてきた。
「!…菜月ちゃんやないか。どないしたん?」
「え…あ…ちょっと…見学に。」
「ほ~う。」
すると、今吉は初めて会った時と同じように、私を抱き上げた。
「わっ…!」
「ホンマ可愛いのう。また会いたかったでぇ?インターハイぶりやなぁ。」
「あ…お久しぶりです。今吉先輩。」
「おう。にしてもホンマに軽いなぁ?ちゃんと食ってるか?」
「…はい…。」
「その顔は嘘やな?アカンで?ちゃんと食べへんと。」
「主将、早くやりましょう。」
「おう、そうやったな。よっ…と。」
今吉は私を下ろすと、今度は後ろから私を抱きしめた。
「んで桃井。青峰はどうやった?」
「いえそれが…今日も来ないみたいで。」
「クッソ青峰の野郎…!またサボりか!ったく!」
「…」(今吉先輩…凄い密着してる…。)
「あっ!」
「ん?どないした?桃井。」
「菜月がいるってわかったら練習来るんじゃないですか?ねぇ?菜月?」
「え?」
果たして私にそんな力があるのか。わからないまま電話をかけさせられた。
「はい!」
さつきが青峰に電話をかけた状態で、電話を渡してきた。
私は耳元に携帯をあてた。
「…」
プルルルル…プルルルル……。
しかしいつまで経っても出ない。
「うーん、私の。って思って出ないのかも…。」
「ほんなら、菜月ちゃんのでかけたらええんちゃう?」
「もうあんなアホほっといて、部活再開しましょうよ!」