第3章 少しずつ変わりゆく
「いや、その話はもういい。好きにすればいい。試合に勝ちさえすればな。」
「はぁ!?」
「何を言っているのだよ赤司。それではさっきと」
「緑間、黄瀬についても同様だ。試合に勝てたら、それ以外は不問にする。」
「えぇ?」
「僕達のレベルでは、無理に足並みを揃えようとする方が無駄だ。むしろ、合わせない方が効率がいい。」
「そんな…っ…。それじゃあもうチームプレイをするな。って言ってるようにしか」
「その通りだ。キセキの世代にとって、チームプレイは邪魔なものでしかない。そう言ったんだ。」
「!…」(征…君……?)
皆の言葉や赤司の声が耳に入ってこなかった。
「っ…!」
「あっ、おい!菜月!」
私は体育館を出た。青峰が私を呼び止めたが、聞こえなかった。
外は雨が降っていた。
「…どう…して……?」(どこで……間違えたの……?)
そこから、皆…変わり始めた。
青峰も、黒子と練習をしなくなった。試合も、遊び感覚。勝てて当然の顔。
緑間も…赤司も…青峰も…紫原も………変わってしまった。
唯一、変わってないのが、黄瀬と黒子、さつきだった。
黄瀬は目的は皆と同じ。
【勝つことが全て】
でも…楽しんでバスケをしている。
「…ねぇ……どこで…間違えちゃったのかな…?」
青峰も、部活に来なくなった。
「…っ…悪かった…かな…?ねぇ、テツ君!!」
第4体育館で、私は泣きながら叫ぶ。
「…っ…すみませ……っ……僕が…止められなかったから…。」