第3章 少しずつ変わりゆく
「違…う……。」(もっと、皆が笑って…楽しそうにバスケをしている姿を見たかった……もっと、笑っていたかった…。)
「…青峰君に言われました。」
「…えっ…?」
「雨が降っていたあの日……青峰君が…僕に言いました…。」
「…?」
*
「なんでだよ?何のために練習すんだよ?練習しなくたって勝っちまうのに?」
「気持ちはわかります……けど」
「わかる?何がわかるんだよ。教えてくれよ。お前みてーに一人じゃ何も出来ないような奴に何がわかるんだよ!」
「でも、出来ないことを嘆いても仕方ないです、だから僕は、全力でパスを回します。」
「誰に回すんだよ?オレは一人でもどんな奴にも勝てちまうのに?」
「!…」
「俺は……もうお前のパスを、どうやってとればいいのかも忘れちまった。」
*
「!…そんな…ことが…?」
「…はい…っ…。」
私の涙は止まった。
「…僕にも…もうどうすればいいか…わかりません…。」
その言葉が……体育館で聞いた、黒子の最後の言葉だった。
そして黒子は…バスケ部を辞めた。
大切な友人を……悲しませてしまったから……。
「…」
「菜月っち、元気ないッスね。」
「…」
「お~い、菜月っち!」
「…!あ…ご…ゴメ…何…?」
「い、いや…元気ないな~って…。」
「あ…あぁ…そんなこと…ないよ…。」