第18章 インターハイ
『!…』
皆が驚いていた。
「…」(まだ…不完全で…本物には及ばない…でもこれが…時間をかけて…これを…本物に真似たら…。)
考えただけでも恐ろしかった。真似とはいえ、青峰が2人いることになる。
「!…」(凄い…集中力…。)
鳥肌が立った。
黄瀬にまたボールが渡った。青峰のプレイとそっくりな状況だった。誠凛との試合の時、ゴールとは違う方向に進んでいき、ボールを投げるようにして打つやり方。
「っ…!」
若松がそれを止めようとするも、体が当たりまたファウル。
惜しくもそれはゴールには入らなかった。
「プッシング!黒6番!フリースロー2ショット!」
『わああああっ!!』
「すっげぇ黄瀬!ていうか完璧青峰みてぇじゃん!」
「いえ、多分まだ不完全よ。」
「え?」
「その証拠に、速攻とかで青峰君以外がマークに来た時にしかやってない。きっと、本人の中で、まだイメージとズレがあるのよ。」
「つまり、黄瀬が青峰に再び1on1を仕掛けた時が、コピーが完成した時だ。」
フリースローを綺麗に決めた。
第3クォーター、残り6分14秒。46対58。桐皇がまだ勝っている。
「追い上げてきたぁ!」
「海常も粘るぞ!」
その時だった。会場が静まり返った。
青峰が何もせず、投げただけでシュートが決まったからだ。
「あっ…。」
『うおおおおっ!!』
そしてまた再び歓声があがった。
「シュートだったのか今の!」
「アイツむちゃくちゃだ!」
『!…』
いくらエースを信じる。と言っても、点差と時間が間に合わなければ全て水の泡。おそらく、15点差、これがデッドライン。