第18章 インターハイ
「…どう…って言われても…。」
「あ、ちなみに、試合終わったあともしてほしいッス!あ、てか、毎日してほし」
「欲張りです黄瀬君。」
「えぇっ…だって、菜月っちハグできるとか貴重だし。毎日したいッス!」
「貴重だったら毎日なんてできません。」
「え~!」
「……じゃ…じゃあ…、今か試合終わったあと、どっちか1回だけ…なら…。」
「!…えぇっ!?」
黄瀬は悩みに悩んだ末、今することにしたらしい。
「ん~!」
「長いです、黄瀬君。」
「もうちょっとだけ。」
ギュッ…と抱きしめられた。
「…菜月っちに、俺、何度救われたことか。」
「え?」
「…祥吾君との試合の時、俺、菜月っちいなかったら…結構ヤバかったんスよ?覚えてるッスか?」
「…うん、それは…もちろん…覚えてるけど…。」
「……ホント、俺のものにしたい。」
「え?」
「なんもないッス!じゃ、頑張ってくるッスわ。」
そう言い、私を離すと、会場の中に戻っていった黄瀬。
私達も会場の中に戻った。
ビーーッ!!
『わあああっ!!』
始まった第3クォーター。
今吉が桜井にパスを出した。プレッシャーに負けてしまったのか、笠松に不意をつかれ、ボールを取られてしまった。
すると、黄瀬は走り出した。笠松は思いきり黄瀬にボールを投げた。
「おぉっ!いきなり速攻!」
黄瀬の雰囲気が全然違った。今吉が止めようとするも、腕が当たり、ファウルになってしまった。
ピーーッ!
「ファウル!オールディング!黒4番!」
『わああああっ!!』
さっきから歓声が鳴り止まなかった。