第3章 少しずつ変わりゆく
「わ、わかった!」
後ろから追いかけてくる灰崎はどんどん迫ってくる。校舎を出るまで、あともう少し。下駄箱で青峰が待っていた。
「大輝!」
「!…何でお前ら走っ……灰崎?」
「チッ…大輝。」
「まだ菜月に絡んでんのかよ。」
黒子と私を後ろに隠すように前に立つ青峰。
「…」(うわ…っ……。大輝がいるだけで、こんなに安心するんだ……。)
さっきまでの恐怖は消え、脚の震えも止まっている。
「テメェこそ、いつまで俺につきまとうつもりだ?」
「別につきまとってるわけじゃねぇよ。菜月や他の奴らにちょっかいかけなきゃ、ほっとくわ。」
「フッ…。笑わせんなよ大輝。他の奴に俺は興味ねぇんだよ。俺が興味あんのはそいつ。邪魔すんじゃねーよ。」
私を指さし、そう言った灰崎。
「だ、大輝…帰ろう?」
「…」
「大輝!」
「…そうだな。」
怖くなり、青峰のジャージを後ろから掴む。
「!…菜月…。」
「っ…ゴメ……。」
「大丈夫ですよ、菜月さん。」
「!…テツ…君…。」
私に微笑む黒子。
「…うん。」
「んじゃ、帰るか。お前もとっとと帰れよ、灰崎。」
そう言うと、校舎を出て、歩いて帰る。灰崎は追ってこなかった。
「…あ、ありがとう…。」
「いや。」
「全然。」
「…テツ君来てなかったら……多分…危なかった。」
「バカ、多分じゃねーよ、絶対だバカ。」
そう言い、額にデコピンをする青峰。
「っ…たぁ…。」(大輝に2回もバカって言われた……。)