第3章 少しずつ変わりゆく
「…いいよ、私は。やらない。」
「…なんで?」
「…大会近いでしょ?2人で頑張って練習して?良い相棒もったんだから。」
私は青峰に微笑みかける。
「!…おうっ!俺は光で、テツは影、だからな。」
ニカッ!と笑う青峰。青峰にボールを投げると、それをうまくキャッチして、また練習を再開した2人。
「…」
18時近くなった頃、練習をきりあげた2人。
「帰るか、送ってく。」
「あ、ありがとう…。大丈夫だよ。」
「いいから。」
「そうですよ、夜道に女性1人は危なすぎです。」
「…あ、ありがとう…じゃあ…お言葉に甘えて…。」
2人に送っていってもらうことにした。その前に、体育館の鍵を、職員室に返しに行った。
「!…まだいたのか?早く帰れよ。」
「はい、すみません。」
職員室を出て、廊下を走ると、人影があった。もう校舎は暗くて、誰もいないはずなのに…。
「菜月。」
「!…」(灰崎…君…!?)
「暑苦しいバスケなんか、辞めちまえよ。」
「…なんで……ここに…。」
「大輝もバカだよなぁ…。送ってく、って言ったって、ここまで来ねぇと、誰がいるかもわからねぇのによぉ…。」
「っ…。」(見てたの…?)
一歩、後ろに下がった。
「おいおい、逃げんじゃねぇよ。なぁ?」
ポケットに手を入れ、近づいてくる灰崎君。
「…」(どうしよ…逃げなきゃ……逃げ…なきゃ……。)
「何してるんですか。」
「!…」
「…あ?」
「て、テツ君…。」
「テツヤ。」
「彼女に手をだすのは間違っていると思います。」
「あ?テメェに関係ねぇだろ。」
「あります。」
そう言い、私の手首を掴んだ。
「…逃げましょう。」
ボソッ…とそう言うと、走りだす黒子。
「っわ!」
「おい、待て!!」
後ろから灰崎が追いかけてくる。
「やっ…む、無理だよ!」
「入口で青峰君が待ってます!そこまで頑張ってください!」