第17章 夏合宿と…
「大我君って…ダブルクラッチ出来なかった…っ…け?」
「できるけどよ、あれは左足で跳んで、右手でボールを持ってた時だ。が、利き足の右で跳ぼうとすれば、ボールを扱うのは基本左手だ。けど実は、左手だと叩きつけるくらいしかできねぇっつーか。」
「!…」(つまり…右手に比べて…左手のボールハンドリングが拙すぎる…ってこと…?)
「冬までにやることは決まった。何度でも跳べる足腰を作ることと、左手のスキルアップ!俺は空中戦で、自在に動けるようになる!」
「…」
「ただ、それを緑間に気づかされたのがムカつくぜ。だから走ってた。けどやっぱ、どいつもこいつも強ぇな、キセキの世代。緑間のディフェンス1つ取っても、右でとばされただけだ。」
「…いえ、逆に言えばそれだけ火神君を警戒してたとも……。」
話していると、黒子が立ち止まった。
「…どうした?」
「はぁ…はぁ…はぁ…ど…したの…?テツ君…。」
「!…」
黒子は何かに気づいたようだった。
「火神君は、キセキの世代に空中戦なら勝てるかもしれません。けど、地上戦で勝てないかもしれません。」
「んだと!?」
「それに僕のパスも通用しません。火神君がダメなら、今の誠凛で相手をできる人はいません。けど、今思いつきました。火神君とみんなをいかすための、新しい僕のバスケ。」
「!…」(テツ君…。)
「パス以外に、僕だけのドライブを習得して、僕がキセキの世代を抜きます。」
「…」
「ゴホッ…!ゴホッ…!」
「大丈夫ですか?」
「…無理して走るからだ。」
火神が私の背中をさすってくれた。