第16章 実力
「うおおおっ!!」
ダンクを決めた火神。でも…。
ピピッ!
「ファウルよ、火神君。強引すぎ!もっと周りを見て!」
「っ…チッ…!」
「アイツやけにピリピリしてない?」
「あぁ…最初は、集中してるせいだと思ったけど、どうも違う。入部したての時に戻ったみたいだ。」
「…」(大我君…。)
「まるで周りに頼ろうとしない。1人でバスケやってやがる。」
「…」
「なぁ、火神君。」
木吉が火神に声をかけた。
「俺も早く試合に出たいんだけどさ、上級生だからって、戻ってすぐ出してくれってのも横暴だと思うわけさ。だからよ、勝負してくんねぇ?1on1、スタメン賭けて。」
「…」
「木吉…。」
「はぁ…変わってねぇな。だからやなんだよ、アイツは…。いつだって全力で、バスケバカで、ボケてて、そんで……いつもなんか企んでる。」
「…っ…。」(大我君も……火神君って…呼ばないと…いけない日が来ちゃうのかな…。)
そう思い、私は唇を噛み締めた。
「…菜月さん。」
「!…な、何…?」
「口…そんなに強く噛んだら、血が出ちゃいますよ。」
「え…あ…。」
黒子は気づいていたのか、声をかけてくれた。
「…火神君なら大丈夫です。」
「!…」
「…」
「…うん。」
黒子はいつだって、私に元気をくれる。