第16章 実力
「やる気あんのか?あんのか…!?」
「おう!」
「あんのか…。」
日向はゆさゆさと胸ぐらを上下に揺すっていた。
「去年の夏から、わけあって入院しててさ、手術とリハビリで、今まで休んでたんだ。木吉鉄平。193cm、81kg。ポジションは、センター。よろしくな。」
「…」
私は全てメモを取った。
「鉄平、もう大丈夫なのね。」
「あぁ、もう完璧治ったよ。ブランクはあるけど、入院中、何もしてなかったわけじゃねぇよ?」
「お、何か学んだのか?」
「あぁ……花札をな…!」
『…』
「相部屋のじいちゃんに習ったんだ!」
「…だから?」
「面白いぜ?」
『バスケ関係ねぇじゃん!』
日向と伊月が声をハモらせそう言った。
「あと、これだけは言っとこう。なけなしの高校3年間をかけるんだ。やるからには本気だ。目標はもちろん、どこだ!」
『?』
「…は?」
これには監督もこの一言。
「いや、インハイの開催地ってどこ?」
「毎年変わるしもう負けたわ!今目指してんのは、ウィンターカップ!」
「それは今年どこ?」
「東京です!毎年ね!」
すると、河原が口を開いた。
「この人が、バスケ部を作った……。」
『えぇっ…。』
1年3人組が木吉から離れた。
「ま、とにかく、山登るなら、目指すのは当然てっぺんだが、景色もちゃんと、楽しんでこーぜ。」
木吉を加えての練習がスタートした。