第16章 実力
試合が終了し、誰1人口を開かなかった。私は、表示されていた得点をずっと見つめていた。
*
会場にいた人達は…。
「ダブルスコアだ…ぁ……ヤバくないスか桐皇!誠凛がこれなら、ウチはもっとボロ負けするんじゃないスか」
「なんでだ。」
「あいっ…て…!」
高尾が木村に叩かれていた。
「そう単純な話でもないさ。」
大坪が口を開いた。
「緑間にとって、火神は最悪に近い相性だった。とはいえ、青峰を止められるかといえば……とてつもないな、キセキの世代のエースは…。」
また、緑間と黄瀬は……。
「じゃあな、黄瀬。」
「早っ!ちょっとはショックとかないんスか。この結果に…。」
「俺より、黒子と菜月の心配をした方がいいのだよ。」
「え…。」
「青峰に黒子のバスケは全く通用しなかった。精神的にも、相当なダメージだろう。しかも誠凛はまだ若いチームだ。この修正を一晩でするのは容易ではないのだよ。残り2試合に影響がなければいいがな。」
「…」
「菜月。」
緑間は私を見つめていた。
*
「クソッ!」
火神が控え室のロッカーを叩いた。
「みんな!鳴成と泉真館!試合はまだ2つあるんだからね!落ち込んでる暇なんてないわよ!」
『…』
そして、皆が控え室から出る時だった。私と黒子、火神は最後まで控え室に残っていた。
「なぁ。」
「!…」
火神に言われ、ビクッ…と黒子の体が反応した。
「これが、限界なのかもな。」
「…っ…。」
「…正直、もっとやれると思ってた。けど、このざまだ。」
「…」
黒子は何も言わなかった。